日本のホタルはァァ世界一ィィイ!

 7月某日曇り。田園地帯の小水路でナマズ釣りをしていると、傍らの草の茂みにホタルの光がひとつ瞬いた。「おっ、ホタルを見るのは何年ぶりかな。美しいよなあ、日本のホタル・・・」と感傷に耽っていると、突然背後からヒトに声をかけられた。夜中の散歩中のおじさんだった。闇夜の中で、ヒトが居るとはまったく考えていなかったので、心臓が飛び出るかと思うくらいビックリした。

 「ホタル採りですか?」。「いや、まあ、釣りなんですが、もごもご・・・」とシドロモドロの返答。「ほえーっ、こんなところで釣れるんけの(福井弁)」。このおじさんは、磯玉とジッターバグに装着されたケミホタルの光をみて、ホタル採りと思ったのだろう。
 
 話は突然変わるが、このケミホタルは、日本のベンチャー企業ルミカが製造している。中の蛍光体は、アメリカの企業サイアナミッド社が開発し、成分は企業秘密。小さな発光体としてのボディーを完成させ、様々な用途に使えるようにしたのがルミカだ。

 ケミホタルを折るとパキッと音がするが、これはプラスチックの外筒の中に入っているガラスアンプルが割れる音。ガラスアンプル中の液が、外筒内の液と混合されて発光する。すばらしいアイデアだ。薄いガラスアンプル中に少量の液体を注入するのに、ルミカの高い技術が必要らしい。日本の高い技術が、ナマズ釣りを支えている。

 日本人として、とても誇らしげな気分で、こう叫びたくなるよ。

  日本のホタルはァァ世界一ィィィィイ! 
  ルミカの技術もォォ世界一ィィィィイ! (ジョジョの奇妙な冒険風に*)

 ところで、今日の釣果は、66cm+、55cm+の2匹。トータル4匹。
 ケミホタルに感謝。

*注釈:「ジョジョの奇妙な冒険」は天才・荒木飛呂彦(敬称略)が描く傑作マンガ。ドイツ軍人のシュトロハイムの台詞に「ドイツの科学技術はァァ世界一ィィィィイ!」がある。