ナマズ・クッキング

 9月某日。これまで実行を躊躇していたミッションを行う時が来た。それは、ナマズを食べてみること。開高健先生も言っているように、魚を理解するには一度はその魚を食べてみなくては。

 ナマズ調理の準備は、かなり前から行っていた。アメリカではナマズ料理がポピュラーな地域があるらしく、ナマズの料理書が何冊も刊行されている。これらの本をamazonで購入して読むとともに、最近はナマズに近いと思われるウナギ料理を重点的に食べ、来たるべき日に備えていたのである。
 ナマズ・クックブック

 だが、ナマズを何十匹も釣っていると、なんとなくナマズに愛着が湧いてくるものだ。偽善的ではあるが、食べるためにナマズを自らの手で殺めるのに抵抗があった。そのために、実行が延びてしまっていたのだ。

 しかし、いつかはやらねばならないミッション。意を決してナマズを釣りにポイントへ向かった。ジタゲソをキャストし、55cmのナマズをキャッチ。ナマズは濡れ新聞紙に包んで持ち帰った。調理書に書かれた解体の手引きをみながら調理開始。結局、作ったのは以下の3品。

 蒲焼き

 バジル風味のソテー

 煮付け

 ナマズは、白身で比較的あっさりとした味だった。印象としては、タイかフグの身にウナギの皮を付けたような感じ。クセがなく万人受けする味といえるだろう。調理前の魚体をみたので、家人は誰も箸を付けなかった。

 ところで、ナマズ調理とともに調べたかったのは、ナマズの胃内容物。ナマズは夜の川底で何を食べているのか。今回のナマズから出てきたのは、アメリカザリガニの殻だった。