ホビット - ナナフシ映画の傑作-

 映画「ホビット 思いがけない冒険」をDVDで観た。「ホビット」は大ヒットした「ロード・オブ・ザ・リング」の前日譚。ホビット族のビルボー・バギンズと13人のドワーフ族、そして灰色の魔法使いガンダルフの冒険の旅を描いている。

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 結論から言うと、「ホビット」はナナフシ映画の傑作だった。茶の魔法使いラダガストの口からナナフシが出てくるところが、まさにこの映画のクライマックスで、世界中のナナフシ愛好家が歓喜したに違いない。ちょっと長くなるが、ナナフシ登場の場面を引用してみよう(日本語訳はkimi)。

 ちょっと待ってくれ。わしの考えを話そうと思ったのに、忘れてしもうた。口からちょうど出かかっておったのに。おっと...口から出ようとしていたのは、わしの考えではなかったようじゃ。口から出ようとしていたのは...お馬鹿な...ナナフシじゃった。(ここでラダガストの口からナナフシ登場)

 Just give me a minute. Oh. I had a thought and now I've lost it. It was right there on the tip of my tongue. Oh. It's not a thought at all. It's a silly old... ...stick insect.

 森の危機を伝えようとするラダガストの口から突然登場したナナフシは、シリアスな場面にコミカルさを加える重要な役を担っており、2012年の助演昆虫賞を与えてもよいくらいだ。

 もちろん、「ホビット」の見所はナナフシ登場の場面だけではない。ホビットの国シャイアの緑豊かな風景は、「ロード・オブ・ザ・リング」以上の映像美で描写される。観衆は、シャイアの木々の陰に多くのナナフシの存在を感じ取ったことだろう。

 また、旅の一行が危機に陥った時、助けを求めるガンダルフの伝言を伝えるために、一匹の蝶飛び立っていく姿にも感動した。しかし、蝶愛好家には悪いが、ナナフシのほうが数段存在感を示していたことは、誰の目にも明らかだった。

 昆虫たちの活躍に心躍らせているうちに、3時間弱の時間があっという間に過ぎてしまった。「ホビット 思いがけない冒険」...ナナフシ愛好家なら必見の映画である。

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 監督のギレルモ・デル・トロは、「ホビット」の監督をする予定でしたが降板となりました。「ホビット」では脚本に名前がクレジットされています。彼はきっとナナフシに対する愛をもっているはずです。