ノイバラ、想定外の発根!

 4月にノイバラの葉をナナフシの食草として用いたことがあった。余ったノイバラを、何気なく水耕栽培のロックウールに挿しておいた。葉が萎れて落ちていたので、根付きせずに枯れてしまったのだろうとロックウールごと取り出してみたところ、ロックウールの底に根のようなものが少し見えている。ロックウールを割って確認したところ、なんと発根していました(矢印)。
 
 冬に枝挿しを試み失敗していたので、全く期待していなかっただけに驚いた。しかも想定外の場所から発根している。根は枝の切り口から生えるものとばかり思っていたが、葉が付いている根元から根が出ていた(矢印)。
 
 こんな場所からも発根するんですね。google画像で検索してみると、ノイバラの同じような発根写真がいくつかありました。どうもノイバラは切り口から発根することもあれば、葉の付け根から根を出すこともあるようだ。切り口から発根する場合は、まずカルスという組織が形成されてから根がでるので、比較的時間がかかるようだ。これに対し、葉の付け根の場合はもっと短い時間で発根することが多いらしい。このノイバラの枝は、4月20日に挿したものだから、約3週間で3cmくらいの根を伸ばしたことになる。

 となると、ノイバラのことが気になってしょうがないので、仕事帰りにノイバラの観察にいくことにした。場所は福井市内を流れる河川の河原で、4月のマラソン大会の途中で偶然に発見した場所だ。3週間しか経っていないが、新しい葉がかなり茂っている。さすがバラの台木として使われるだけあって、力強い生命力を感じる。すでに蕾のようなものも出来ていた。
 
 特徴的なのは、アブラムシにたかられている枝が多いことだ(写真下)。実は、ナナフシ食草として用いたときにもアブラムシが発生して困ったのである。調べてみると、アブラムシは普段は子を産んで増えるが(胎生)、冬越しのときは卵を産むようだ。今後、暖かい時期に枝ざしをするときは、まず水に半日ほど付けてアブラムシ駆除をすることにしよう。
 

 ここまでノイバラのことをさんざん書いておいてこう言うのもなんだが、ノイバラ自体はナナフシ食草としてさほど魅力的な植物ではない。水差ししてもあまり日持ちしないし、ナナフシ(トゲナナ・アマミ)もさほど好んで食さない。しかし、バラやミニバラをノイバラに接木してから水耕栽培すると面白いのではないかと思っている。今後、実験して確かめていきたい。

 【おまけ】ノイバラの近くにテリハノイバラがたくさん生えていた。テリハノイバラは、ノイバラに比べて新枝が硬いためか、アブラムシが全く付いていない。テリハノイバラナナフシはちょっと食べる程度だが、何か面白い使い道があるような気がする。
  

ノイバラと虫たち (たくさんのふしぎ傑作集): 確かにノイバラにはアブラムシのほかに、テントウムシやクモがたくさんいました。