Bookvikaにまんまと騙されたでござる

 最近キイチゴの栽培が楽しくなってきたので、少し深く勉強したくなった。キイチゴラズベリー)栽培の和書が少ないので、amazonで「Raspberry」という洋書を注文してみた。昨日、やっと本が届いたので、バラパラとページをめくってみたのだが何かおかしい。
 
 100ページ程度の本なのだが、ラズベリーに関する記載は最初の20ページだけ。以後は、果物全般(Fruit)についての解説が延々と続く。さらに、突然にセルビア共和国(Serbia)の歴史や風土についての説明が始まり、20ベージも続く。

 「なんだこれは・・・」とさすがに驚いて、インターネットですぐさま調査を開始した。すると思いもよらぬ驚愕の事実が判明したのである。

 まず、出版社のBookvika publishingは、ウィキペディアのそのまんまコピー本を作って販売している会社のようだ。確かに、注文した本の中身もウィキペディアそのままである。表紙には、ご丁寧に"High Quality Content by WIKIPEDIA articles!"とまで書かれている。

 驚くべきは、この本は人間が編集したのではなく、コンピュータがインターネット上の情報を自動編集して作ったらしいということだ。FruitやSerbia(ラズベリー作りが盛んな国らしい)についての記載が延々と続いたことも、これで納得できる。
 Bookvika publishingが出版する本の編者はJesse Rusell, Ronald Cohnとなっているが、この名前でamazon検索すると、何と222,433件もの本がヒットする。コンピューターを利用して、手当たり次第に本を作成しているようだ。

 この膨大な本の数をみると、「Raspberry」という本は、ワタシの注文する前に本当に存在していたのかという疑問がわく。222,433件の本をすべて作成して準備しておくのではコストに見合わないはずだ。もともと「Raspberry」という本は存在せず、ワタシが注文してから初めて作成・製本を始めたのではないだろうか。amazonに表紙写真が掲載されているが、これも実物を撮ったのではなく、合成写真なのではないかと疑ってしまう。

 しかし、まあ、なんというかいろいろな商売があるもんですね。最初は腹が立ったが、1冊2156円でとても高価な洋書というわけでもなくいろいろ勉強になったので、変に感心してしまった。

 最近は同様の商売をする出版社がいくつかあるようだ。今後の対策としては、同じ筆者が多数の本を書いている場合には怪しいと疑うこと。また、書評を必ず確認してから購入することだろう。ワタシは洋書を買う場合、たいていは米amazonの評価をみてから注文するのだが、今回はそれを怠っていた。(実際には「Raspberry」という本は、米amazonには登録されていなかった。米amazonからは排除されているのかもしれない)

 Bookvika publishingの本は、日本の図書館にも所蔵されているらしい。たぶんワタシと同じ経緯で注文してしまったのではなかろうか。失敗談を書くのは恥ずかしくもあるのだが、今後洋書を注文する人の参考になるかもということで、経緯を書き残しておくことにしました。

Raspberry

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