ナナフシ愛好家のための水耕栽培入門(2):酸素

 ハイドロポニックス水耕栽培)の勉強を始めてまず驚いたのは、「根っこだって呼吸をしている」ということだ。植物の根は成長のためにたくさんの酸素を必要としていて、酸素が足りないと成長できないばかりか根腐れを起して死んでしまう。

 イネのような根が水に浸かっている植物は、葉から根へに向ってパイプのような通気組織が発達し、酸素を送っている。ちなみに、泥の中で育つレンコンの穴も同様の通気組織だそうだ。通常の植物はこのような通気組織が発達していないので、ある程度通気性のある土壌でないと根が発育できない。

 ハイドロポニックス・システムは、根に十分な酸素を供給できるかどうかが鍵である。

 左の図は、もっとも単純な水耕栽培で、根を培養液に浸けただけである。現在の私は諸事情によりこのシステムしか使っていない。このシステムでは、培養液中の酸素はさほど多くないので、根が酸素不足になりやすい。右図のように、エアレーションを行うことができれば、根に十分な酸素を与えることが出来る。

 NFT(Nutrient Film Technique )では、上図(左)のように薄いフイルム状に培養液を流すことで、根が酸素を利用しやすくなっている。また、最もハイテクのハイドロポニック・システムといえるエアロカルチャー(aeroculture)では、上図(右)のように植物の根は空中に浮かんだような状態となっていて、周囲は酸素だらけである。このシステムでは、培養液は根に向かってスプレー噴霧される。